私の人生の中で師匠と呼べる人が4人います。田舎で一から音楽を教えていただいた、押見先生、大学で作曲を教えていただいた溝上先生、そして大学後半からお世話になった筒井広志さんと小林亜星さん。筒井さんはかなり前に亡くなられ、次に溝上先生、そして大恩師である押見先生が亡くなられました。唯一残っていた亜星さんが、今年ついにあの世に引っ越しされて、師匠と呼べる人をついに失ってしまいました。考えてみればそんな年代に突入したとも言えます。
筒井さんと亜星さんは同じ事務所で仕事をされていました。事務所に紹介された当時、編曲家志望だったので、それならば筒井さんの方が良いだろうということで、筒井さんに編曲を学びながら亜星さんにも度々仕事をさせていただいていました。もちろん当時はどちらも雲の上の存在で、気軽には話しかけられませんでしたが事務所の方々にも大変お世話になりました。今考えるとたくさんの人とお会いできてとても充実した日々でした。様々な思い出があります。記憶のある方もあると思いますが、エメロン(シャンプー)のCMで「ふりむかないで」というシリーズがあり、録音の手伝いに駆り出されてお手伝いした記憶が鮮明に思い出されます。スタジオでも上でエメロンの音取り、下でもグリコのプッチンプリンの歌入れと亜星さんは超多能な時代でした。数え上げればきりがないのですが、私にとっても楽しい時代でした。その後NHKの仕事「母と子のテレビ絵本」という番組の仕事で私が書いた曲を亜星さんに歌ってもらったことがあり、エレベーターで「私も還暦になった」という話をされたり、久々にお話しさせていただいた記憶が残っています。それも28年前なんだなあと新手めて時の流れを感じます。
最近はJasracの総会で年に一度くらいしかお会いできませんでしたが、それもコロナでなくなり去年今年と会えないまま、亜星さんとのお別れになってしまいました。亜星さんからいただいた「絵のない絵本」というアルバムが家にまだ残っています。亜星さんらしい一枚のアルバムを大切にしようと思っています。合掌